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丸谷才一『樹影譚』

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 舗道を歩く。ビルのガラスが大きな鏡になって、街路樹を映す。先日まで緑濃かった樹木も、この季節は黄や赤の衣に変わる。葉が繁っているときは、1つの塊に過ぎなかったが、葉が落ちて幹と枝だけになると、様々な線が現れ、樹に個性というか、味わいが出てくる。
 ビルのガラスに写った樹木の姿は、樹影とは呼ばない。あれは、鏡に映った像である。樹影とは、光によって壁に投影された樹木の影である。子供のころに遊んだ、指で作ったウサギやキツネの影絵と同じものだ。
 夏の樹影は、多分、面白くないだろう。直射日光を遮る木陰として役立つが、あまり印象に残るものではない。冬の樹影は、記憶に残る。
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 亡くなった丸谷才一の作品では『笹まくら』に感銘したと、少し前に書いたが、また、彼のいい作品に出合った。『樹影譚』というやや長い短編である。文庫本で読んだのだが、気に入ったので、単行本を探して注文してしまった。間もなく着くはずだ。
 壁に映る樹影が、なぜか気になって仕方がない老作家が主人公だ。内容については、ここでは書かないが、面白かった。それから、小説家が、あるテーマについて、どのような素材を集め、どういう風に物語にまとめていくかが、手に取るように分かって、大変勉強になった。「私にも、小説を書けそうだ」という気にさせた。
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by withbillevans | 2012-11-15 18:00 | 読む
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