初めてXR RIKENON 50mmF2.0を使用したとき、性能の高さに驚いた。まだ、フィルムの時代である。
このレンズは、RICOH製の標準レンズの中で、最も廉価なものだった。そこで、もっとスペックが上、つまりもっと高価なレンズなら、さらにいいはずだと思い、F1.7、F1.4、F1.2も入手した。F1.2は焦点距離55mmであった。
その結果、F1.7が一番好みになった。解像力はF2.0が優れていたが、F1.7は実在感に優れていた。本物らしく写るのである。これがしばらく〝旅レンズ〟になった。1本だけ持って出かけるときに選ばれるレンズである。
そして、デジタル1眼レフを購入して、それまでの数倍、あるいは数十倍のカットを撮影するようになった。そうすると、F1.7は、それまで感じていた良さが消え、平凡なレンズに思えてきた。フィルムとデジタルでは、描写傾向が異なるのかもしれない。F1.4は初めから平凡であった。
F1.2は、開放で撮ると、時々面白いボケを楽しめたが、暴れん坊的性格が強くて、使う機会は少なかった。
結局、F2.0が生き残ったのである。