YASHICAが米国で販売していたレンズ。使われた形跡のほとんどない、新品同様のきれいな品が里帰りしてきたもののようだった。YASHICA製レンズに詳しいサイトで高性能と知り、オークションで落札した。落札価格は1万2000円くらいだった。
オール金属製で、ずしりと重かった。重かったのはボディーだけでなく、描写も重厚だった。すべての色に墨が入るような印象を与える油絵風の描写であった。
そのサイトでは「ヤシカ・アメリカが企画した、富岡(光学)製の隠れた傑作!!」とあった。私は、富岡と聞いただけで、ピクッとする。YASHICA ML35mmF2.8(富岡光学製)の超高性能に惹かれて、これも姉妹レンズなので、いいだろうと期待したのだ。結果は、かなりよかった。
でも、YASHICA ML35mmF2.8ほどではなかった。描写が、ちょっと泥臭いのではないかと感じたのだ。
上は、群馬県のJR高崎駅の駅前広場で撮ったもの。夕方、若いアマチュアのジャズバンドが演奏していた。曲は『A列車で行こう』だった。音が大きくて、演奏もかなりうまかった。
背景のタイルの壁画の、ダルマの赤色が濃く出ている。このレンズは赤色がよく出た。
このレンズを所有していたのは数カ月間だけ。この写真が一番いいできだと思っている。もう1枚、高崎駅まで行く途中の電車の中で、自分を撮った写真があって、それもよく写っていた。赤いマフラーをした男の顔を、夕日が半分照らしている。
自分の顔を、MFカメラで撮る方法は、距離を63cmに設定して、カメラを右腕に持ち、腕をいっぱいに伸ばして顔に向け、シャッターを押せばいい。