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先輩のYさんにNIKON FEをいただいた

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 今日は、Yさんが、福岡の新居で最初の朝を迎えたはずである。元気だろうか。
 40年近く前のことだ。就職して、私が新しい職場に配属された日、先輩社員は出払っていて、Yさんだけがいた。その偶然が、Yさんとの長い付き合いの始まりだった。

 数年前、Yさんが私に言った。「キミ、初めて会った日に、キミが僕に言ったことを覚えていますか」
 私、「新人の●●です、よろしくお願いします、と挨拶しました」
 Yさん、「その後で、Yさんは現役ですか?と聞いたじゃないか」
 私、「そうでしたか。そんな失礼なことを言いましたか」
 Yさん、「言った」

 それを聞いて、私も、言ったのが本当だという気になった。まず、Yさんは東大で西洋史を専攻した歴史学徒なので、史実に忠実である。また、私が当時、そう思ったのも事実だったからである。
 そのころ、40歳代になったばかりだったろうが、Yさんは落ち着いていた。その後もずっと冷静沈着な紳士であった。私はその反対の性格なのだが、Yさんはいつも私を引き立ててくださった。
 われわれの職場は、熱気を求められる仕事をしていた。そういうホットな仕事にぴったりの資質の人間が多かった。しかし、それだけではバランスに欠け、いい仕事はできない。クールな人物も必要だった。Yさんは冷静派の最右翼だった。

 Yさんは定年後、別の会社に移り、経験を生かし若い人を育て、その小さい会社の基礎を作るという立派な仕事をなさった。そして、そちらも引退して、後継に私を引っ張ってくれたのである。

 ある時、「僕は東京で生まれて、東京で育って、東京で仕事をしていたので、東京以外に住んだことがないんだよ。せめて最後は地方で生活したいと思った。ということでこの10年ほど、あちこち旅しながら、これだという場所を探していたんだ。ようやく、住むなら福岡市だと確信した。魚がうまい! 女性が男を立ててくれる! 歌舞伎も相撲もある! 寒くない! 南海トラフから遠い! こんないいところはない」と指を折りながら、福岡をほめ上げた。続けて、「来年春、引っ越す」と唐突に言った。

 そして、本当に、今週引っ越していった。引っ越しに当たって荷物を整理して、使わなくなったカメラを、私に置いて行ったのである。

 いただいたカメラNIKON FEには、NIKKOR-H Auto 50mmF2.0レンズが着いていた。私はこのレンズをNEX-5Nに装着して、Yさんの写真を撮った。
 40年近く前と変わらない落ちついた紳士が写っていた。私は、「Yさん、喜寿を過ぎた人には見えません。来年が還暦と言っても通用します。どう見てもまだ現役ですね」と言った。その言葉の、5%くらいはカメラをいただいたお礼の世辞であったが、95%は本心であった。
 私は、例の話を思い出し、現役という言葉を使ったのだが、Yさんは、〝現役〟と言われて、ポッと頬を赤らめた。福岡の美点の2つ目が頭に浮かんだ。
by withbillevans | 2013-05-17 18:00 | 写真機
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