土曜の朝、早く目覚めた。朝飯までに2時間あったので、ホテルの近所を散歩した。大都市の駅前の中心部なので、珍しいものとの出会いなどは期待していなかった。
前日、仙台駅に着いて、仕事先にタクシーで行った。仙台のシンボルであるケヤキ並木が一部なくなっていたので、運転手さんに聞いた。「地下鉄東西線の工事です。今は南北線しかないのですが、これが完成すると、路線図が十字型になります」とのこと。
便利になりますね、と言ったら、「いいえ、ちっとも便利になりません。新線の沿線にはあまり住宅はなく、東北大の関係者以外は乗る人がいません。最初は大赤字、将来も赤字です」とバッサリ。
工事が終わると、ケヤキ並木も復活するという。
ケヤキ並木のある青葉通りには、しゃれた店があった。ウィンドーに樹木の影。
上の写真は、しゃがんで撮った。立ちあがったらめまいがした。あの巨大地震の直後に、仕事で仙台に来た。そのとき、大きな余震を何回も経験した。ありゃ、また地震かと思ったが、どうも揺れ方が違う。立ちくらみであった。気が遠くなりそうになり、ケヤキの根元にあった石のベンチにしばらく座っていた。
それにしても、仙台の植物は木も草も、大きく育つ。
ビルが並ぶ中に、板塀越しに、よく手入れされた庭木が並んでいるのが見えた。覗くと平屋の木造住宅。表示板があり、土井晩翠の旧宅だと書いてあった。敷地に入り、青葉通り川を振り向いて1枚。この旧宅は「晩翠草堂」と言うが、うーん、いい感じ。
1本路地を入っていったら、広い庭がある茶室があった。公的に管理された施設のようだ。うーん、いい感じ。
門の脇に、スラリと脊の高いシャラの木が1本、つぼみが膨らんでいた。最高に、いい感じ。
青葉通りをどんどん歩いて行くと広瀬側にぶつかる。川原の植物も、旺盛に育っていた。ツルツルしたような、岸の崖と、川底を構成する岩。私の故郷の川と似ていた。