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カテゴリ:書く( 6 )

On Late Style(晩年のスタイル)

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 トップページの左上のブログ説明を少し変えた。まず写真を替えた。KONICA Ⅲでなく KONICA ⅡAにした。それから、「On Late Style」という文字を入れた。
 on late styleは、サイードの『晩年のスタイル』(岩波書店、大橋洋一訳)の原題である。畏敬する友人I氏に先日薦められ、ついでに貸してもらって、ようやく読み終えた。

 芸術家が晩年どのような作品を残したかについて、あれやこれや論じたもの。ヴィスコンティの映画「山猫」、そしてバッハ演奏のグレン・グールドの項がよかった。
 
 それ以外は、よくわからなかった。表紙カバーに高名な日本の作家の文章が印刷されているのだが、それがこの本と何の関係があるのか分からなかった。自分なりにそれが掲載された経緯が推測でき、そういう関係が気持ち悪くなった。この本を読み始めてから、その作家が同じような題名の本を出しているのを知った。Amazonを見ると、この本のレビューが載っていて、それを書いた人も、私とおなじような印象を持ったようだ。

 それはともかく、晩年の生き方というのは、いいテーマである。物わかりのいい人になる必要なんか、まったくない! 懸命に生きて、懸命に死を思え。そこからスタートしよう。
by withbillevans | 2013-12-10 06:00 | 書く

幸せを感じる時間

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 朝の通勤に、500円払って特急に乗ることが増えた。65歳になり、疲れるのでということで、勘弁してつかわっさい。
 30分座って、文庫本を数十ページ読む。私が幸せを感じるときである。カバンに入れているカメラ、レンズを取り出して、「エヘヘッ」と独り言を言うこともある。

 人生において、幸せを感じるときのことを意識したのは、いつが最初だったろうか。中学生のころ、女の子のことを考えて幸せだなあ、と思ったというようなのではなく、もっと大人になっての人生論的な中での幸せのことである。
 はっきり覚えているのは、親元を離れて、大学生になって、ひとりで生活を始めて、ある朝、自分でいれた紅茶をのんでいたとき、モーツアルトの室内楽のLPを聴いていたのだが、何十年か経って、ひとりで紅茶を飲みながらモーツアルトを聴けたら、幸せに感じるだろうな、自分はそういうふうになれるのかな、あるいは悲劇的な人生をおくるのかな、そんなことはないはず、いやどうなるか分からないが、幸せになれたらいいな、とそのとき思ったことを覚えている。
 そして今、実際にそういうようなときに、幸せを感じている。
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 この数日、ドナルド・キーンさんの『百代の過客-日記にみる日本人』正・続を読んでいる。2冊で1400ページもあるが、間もなく終わってしまう。終わるのがもったいないので、今はゆっくり読んでいる。
 その中の、正岡子規の日記。病気が進み文字を読めなくなった子規が、老いた母親に新聞を読んでもらう。引っかかりながら新聞を読む母の声を聴きながら居眠りをするときが、1日で最も楽しいときだと書いている。
 キーンさんの著作を読むと、私は幸せな気持ちになる。人間を(日本文学を)いとおしむ文章が、モーツアルトの音楽のように、やさしくて、切なくて、美しいのである。 

 (このブログの2012年9月22日アップ分に、子規が亡くなるまで住んでいた、東京・根岸の子規庵を訪問した話を載せています)
by withbillevans | 2013-07-11 18:00 | 書く

東京・根岸 子規庵の庭

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 会社の先輩であるFさんとYさんと、午後3時に、両国駅で待ち合わせて、相撲見物に行ってきた。それまでの時間、東京台東区の根岸にある、子規庵を訪問した。正岡子規が、1902年(明治35)9月19日に亡くなるまで住んでいた家である。現在は財団法人が管理している。
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 室内は撮影禁止なので、庭に出て、外側から建物の写真を撮った。天気は曇りで、ときどき小雨がぱらついた。1時間ほど見学して、外に出たら、少し、陽が差し始めた。本日は、LEICA SUMMICRON R 50mm F2.0の筆おろしとなった。ボディーはNEX-5N。レンズはこの1本のみ持って行った。
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 亡くなる日の前日、子規は3句の俳句を詠んだ。
   をとといの へちまの水も 取らざりき
   糸瓜咲て 痰のつまりし 仏かな
   痰一斗 糸瓜の水も 間にあはず
 ということで、庭には、糸瓜(へちま)の棚があり、黄色い花が咲いていた。
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 この1句と、短い文章の中に、庭作りの心理がすべて語られているように思った。少なくとも、私の場合は、このように思うことが、たびたびある。
 句のほうには、自嘲が込められている。心惹かれる草花を、買ったりもらったりして植えているうちに、庭が雑然としてきて、全体としてみると、どうも美しくない。禅宗寺院の庭のような、あるいは高名な茶庭のような美的バランスや秩序とは縁がないな、という苦笑である。
 文章のほうは、思弁的であり、やや哲学的である。この小さな空間の、小さな草花を見るだけで、私は宇宙を実感できる、小さな草花や虫の営為、季節の変化を見ていると、永遠の時間も一瞬の時間も、ともに理解できる、ということだろうか。
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 無限の宇宙空間と、小さな庭。無限の時間と、手で触れることのできる季節の変化。この対比をあえて統合するようなことをせず、あるがままに直感的に把握しようとしたのが、文人の庭だと思う。
 ちょうど20年前、ドイツのワイマールにある、ゲーテが亡くなるまでの50年間住んだ家を訪ねたことがある。その庭に立ったとき、私は、「普通の庭だ」と感じた。だが、その普通さが、とてつもなくいいのである。大きな木も彫刻のような立派な美術品もなく、刈り込まれた芝生などもなく、あるのは普通の家庭の庭にあるような草花だった。
 このとき感じた、普通の庭の心地よさが、子規庵にもあった。文人の庭の、心地よさである。 
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 案内の男性に、「植えられている草花は、当時のものを忠実に再現したものですか」と聞くと、子規の句や文、それに彼が描いた絵に出てくるもの、例えばへちまや鶏頭は意識していますが、多くは、多分あったのではないかと思われるものを(テキトーに)植えています。また、種が飛んできたり、鳥が運んできたりしたものもあるかもしれません、ということであった。
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by withbillevans | 2012-09-22 22:16 | 書く

S先生と中国の教え子たち KONICA HEXANON AR57mmF1.2

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 Sさんは、千葉県の高校の国語の先生を勤め終え、定年後は、中国の大学で日本語を教えている。私の1年先輩。40数年のおつきあいになる。
 この写真は、2010年12月末に、私が、彼の中国における2つ目の勤務先である福建省の公立大学を訪問した際に撮影した。私がこれまで撮影した人物写真の中で、一番気に入っているのが、この写真である。KONICA HEXANON AR57mmF1.2後期型+G1を使った。
 以下の写真は、S先生の教え子たちだ。大学がある省都・福州市内や福建省のいくつかの都市を、案内してもらった。日本語学科で学ぶ彼女たちの、日本社会全般への知識欲・日本語の学習意欲は、ものすごく強い。私は、自分の知識や経験や考えを、率直に彼女たちに語り、彼女たちはそれを聞いてくれた。
(この項未完成。文章が長くなりそうなので、少しづつ書き足していきます。乞うご期待!)
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by withbillevans | 2012-06-17 23:02 | 書く

「楽園への歩み」 ユージン・スミスと友人夫婦 YASHICA ML35mmF2.8

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 大学に入ったときに知り合い、なぜか気が合って、40数年になる友人。彼の奥さんとも、それに近い付き合いになる。
 連休最終日の今日、2人が訪問してきた。ぜひ泊まっていってと言ったら、2匹のワンちゃんが留守番しているので、帰らないといけないという。息子さんが結婚して、また2人暮らしになったが、この数年は、ワンちゃんが、新しい子供だ。
 2007年にRICHOがGR Digital(初代)を発売したとき、同社はGRDを使った写真コンテストを実施した。入選作12作品でカレンダーを作るという豪勢な記念キャンペーンである。友人は応募し、栄えある12人のうちの1人になった。
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 10年以上前、息子さんが受験生のとき、2人が我が家に遊びに来て、お寺のおみくじを引いたら、悪いのが出た。でも、息子さんは無事大学を卒業して、在学中に知り合った可愛い娘さんと結婚して、もう孫が2人。幸せそのものだ。おみくじの話も、遠い昔の笑い話になった。
 実は、息子さんの可愛い奥さんは、私の当時の勤務先の先輩のお嬢さんだった。まったくの偶然だ。だから人生は楽しい。
 友人の奥さんは、看護婦の仕事の第一線を退いた後、油絵を趣味にしている。100号の大作を1年かけて描く。こちらも、絵画展の入賞常連である。
 トンネルの真ん中あたりの天井に穴が開いており、そこから日が差し込んでいる。見上げる彼女が手にしているのは、青色のLUMIX G1。絵画のテーマ探しに、あちこち持ち歩いて、インスピレーションが湧くと、撮るのだそうだ。
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 昼飯を食べながら、近況を話した。友人は、東京都写真美術館でやっているユージン・スミスの写真展を見に行ったそうだ。ユージン・スミスと言えば、何はともあれ「楽園への歩み」だろう。幼い兄妹が、トンネルのような木立に囲まれた上り坂の道を、向こうの明るい空に向かって、寄り添って歩いていくシーン。
 進歩する人類を象徴的に描いた写真という解釈だと、スミスの明るすぎるヒューマニズムに、ひっかかる人がいるかもしれないが、個人レベルでは、誰でも幸福に生きたいわけだから、やはりこの作品は万人に愛される傑作なのだろう。
 食事の後、養老渓谷にドライブに行ったら、小さなトンネルがあった。そこで、スミスの作品へのオマージュとして、来し方行く末の、2人の幸福への道を思ってシャッターを切った。
(蛇足)タイトルの友人夫婦はユージン・スミスのシャレです。
by withbillevans | 2012-05-06 20:03 | 書く

明治18年創業 東金の八鶴亭で、大正ロマンに浸ってみた

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 ミニ台風のような低気圧が関東近海を通過中で、風を伴った雨が断続的に降っている。東金市の老舗料亭「八鶴亭」(はっかくてい)で昼飯を食べた。かつては、この地方の最高級料亭としてにぎわったお店だ。きちんと作られた料理の価格はリーズナブルで、サービスしてくれる人たちもテキパキしていて気持がいい。木造3層のこの見事な建物は、国の有形文化財に登録されている。平日1200円程度のランチで、料亭の格式を気軽に体験することができる。
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 デザートのおいしいコーヒーはお代わり自由だった。食事をする場所は、1階玄関をそのまま進んだ畳の大広間だ。低いテーブルと、白い布カバーがついたこれも低目の椅子が並ぶ(天井が高いので、椅子・テーブルが低く見えたのかもしれない)。大正、昭和初期の雰囲気がいっぱいだ。コーヒーカップ、ケーキ皿のデザインも、大正ロマン、昭和モダンを感じさせる。
 かつては、この部屋で結婚披露宴などの行事が、盛大に行われたことだろう。窓から眺められるのは八鶴湖。湖畔をぐるりと桜が囲んでいる。
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 お客さんは、私以外はすべて女性だった。半分以上の席が埋まっていた。そのうち気づいたのだが、この人たちはバスツアーのお客さんだった。船橋市を発する、江戸時代に造られた御成街道をバスでやってきて、この文化財の建物で食事をし、その後で館内を見学する趣向のようだ。よくあるバスツアーのお客さんと違って、みんなお行儀がいい。歴女などの知的趣味の人たちだからなのだろう。
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 2階の2部屋で、竹久夢二の展覧会をしていた。復刻した本物の版画が、10万円程度で売られていた。小さいのは1万8000円だった。
 古い料亭の部屋での夢二展はいいムードだった。この料亭の一番いい部屋は、2階の角部屋だ。そこの欄干から眺める八鶴湖の風景は大変いい。欄干に腰掛けるのが、夢二の描く女性であったら最高だろう。
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 八鶴湖は、市街地に隣接しているが、ここだけ低い山に囲まれ別天地のようになっている。東金市は、経済的に疲弊しているようで、商店街はシャッターが目立つ。そのような中で、これだけのお店を維持するのは大変だろう。だからこそ、思いついたときは、こういうお店で食事したり、何かの機会を作って利用するのは、われわれ大人の義務ではないかと思ったりする。
 私がお昼を食べた大広間の天井は、屋久杉の1枚板が、張られていた。何百枚かの枚数だ。現在は屋久杉(樹齢千年以上のもの)の伐採は禁止されており、この板1枚は、あの夢二の版画1枚よりずっと高価だと、誰かが話していた。
 来年は、圏央道が開通して、東金も、東京湾横断道路を介して川崎・横浜方面と直結する。田舎の格式を味わいに来てくださいね。
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by withbillevans | 2012-05-04 19:20 | 書く