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去年、飯館村で

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3月11日に寄せて
 今日は3月11日だ。1年前、地震直後(2011年3月)に仙台、塩釜、石巻、そして、福島第一原発近くの南相馬に行った。地震から半年後(2011年秋)には、仙台から同じ道をたどって、南相馬まで行った。写真は、二度目のときに、途中の飯館村で撮ったもの。もちろん誰も住んでいない。最初に行ったときは、このあたりではまだ人々が生活していた。人口密度の低い場所だから、にぎわっていたというほどではないが、生活する人たちを何人も見た。IAEAが、飯館が汚染されていると警告したのは、その翌日、私が東京に戻ってきた日だった。
 地震は地球活動の営みだ。原発は、人間は太陽エネルギーを制御できるという、人間の錯覚が元にある。推進する人の多くも、それが錯覚であることに、ずっと昔から気づいているのに。
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# by withbillevans | 2012-03-11 12:45

NEX-5+Distagonn25mmF2.8 はでっかい

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ZEISS、 YASHICA、 CANONを使ってみた
 ヤシカ・コンタックス用のCarl Zeiss Distagon25mmF2.8は、今回が2本目の購入だった。G1が出たときにすぐ入手したのだが、M4/3だと50mm換算になってしまい、どうも面白くないので手放してしまった。色の濃さと、画面中央のピントの良さは記憶に残っている。
 その後、M4/3とNEX-5の併用が続いたが、この焦点距離では、YASHICA ML24mmF2.8とCANON NewFD24mmF2.0が主力になった。CANONは解像度や描写の線の細さが素晴らしかったので私の主力レンズになった。きれいな個体を求めて、何本も売り買いを重ねた。ただ、このレンズのもうひとつの特徴である淡い発色はいかにも日本的な品の良さを示していたけれど、物足りなさを伴い、「あー、Distagonn25mmならどうなんだろうなあ」という思いを拭い去ることはできなかった。
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主役を張ったNewFD24mmF2.0
 50代になって、私のカメラ趣味が再燃したとき、「匠のデジタル工房・玄人専科」というブログで、勉強させていただいた。そこの「スーパーレンズ無差別級お勧めベスト10」ランキングで、NewFD24mmF2.0は第7位にランクされ、歴代CANONレンズではトップだった。私も同感だった。ただ、個人的には、淡すぎることからくる物足りなさが、徐々に大きくなってきた
 YASHICAは、描写がやや硬く、ときどき、ポップな非現実的な色を出すことがあったものの、力強さは魅力的だった。こちらも、きれいなのを求めて何本か売り買いした。そこで分かったのはCANONに比べて、外観が「美品」の割合が高かったことだ。もしかしたら、使いこなす前に、手放したケースが多かったのかもしれない。

CONTAX T2を再現したかった
 きっかけは、あの「T2への追憶」だった。25mmはNEXで使うと38mmになると、ふと気づいたのだ。SonnarとDistagonの違いはあっても、Carl Zeissの38mmF2.8であることに変わりはないということにした。
 使ってみると、想像通り、写真から物語を聞くことができた。よく、良いレンズは空気を写すと言われる。私は、物語を聞かせてくれるレンズが理想だ。昔、T2で撮ったネガの密着プリントを見ていて、36コマの映画のように感じたことがあった。
 T2+Distagon25mmF2.8で、私のT2デジタル化は最初の一歩を踏み出した。T2にはたくさんの良さがある。そのうちのコンパクトさ、『粋』という部分が、NEX-5+Distagonn25mmF2.8では適わなかった。NEX-5は十分にコンパクトなのだが、レンズがでかい。KIPONのアダプターとゴム製のフードを着けると、一眼レフの高倍率ズームレンズくらいの長さになってしまう。
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質実剛健なデザインに惹かれる
 そこに飛び込んできたのが、SIGMA19mmF2.8のニュース。さっそくM4/3のボディーを再購入。一足先に発売された姉妹レンズである30mmF2.8をいち早く入手して使ってみた。
 まず、最近のSIGMA製品では珍しい質実剛健なデザインが好印象だった。どこかRICOHの工事現場用カメラに通ずるものがある。GF1白ボディーとは、ものすごく合う。個人的には、Panasonic純正のどのレンズよりも合うと思った。
 ただ、私の本命は、あくまでも19mmのほうなので、今は発売日の3月16日をひたすら待っているところだ。
# by withbillevans | 2012-03-11 11:49 | 写真機

CONTAX T2 と 森繁久弥……「哀愁」の表現者

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気がついたら好きになっていた
 若いころ、だいたい学生時代くらいまでだが、森繁久弥がきらいだった。彼が演じる社長はちょび髭を生やして、和服を着た女性にエッチなことをする、いやらしいエロ爺だった。たまに会社にいる場面があっても、話すことは遊びの打ち合わせばかりで、いつも宴会だった。小金持ちの下品な大人だった(今思うと、うらやましい限りだ。人生かくありたし)。あれは演技でなく、地で行っているに違いない。ああいう大人には、なりたくなかった。
 あるとき、そうでもないなと思った。歳をとるにしたがって森繁が好きになり、いつの間にか、好きで好きでたまらなくなった。

品格と色気と哀愁と
 松岡正剛さんは、子供のころから、森繁が好きだったそうだ。私とはずいぶん違う。尊敬してしまう。松岡さんの千夜千冊で知ったのだが、森繁には『品格と色気と哀愁と』という題名の著書がある。その本はまだ読んでないけれど、多分、品格、色気、哀愁は森繁が好きな言葉、彼の大切な価値観だったのだろう。歳をとった私は、森繁が品格と色気と哀愁の人だったと分かる。エロ爺と品格は、少しも矛盾するものではない。
 森繁の良さが分かり始めたころ、私はまだ、カメラは分からなかったのかもしれない。なぜなら、CONTAXのT2が好きではなかったから。
 T2は、実はカメラ世界の森繁久弥なのだ。
 きらいだった理由の第一は、値段が高かったこと。普通のものの5倍くらいした。金ぴかのデザインもチタンを外装に使ったことも、CONTAXというブランドをウリにしていたことも、みんな気に入らなかった。いやらしいカメラ……。

なんていいカメラなんだ
 50歳を過ぎたころ、中古のT2を買ってみた。写りが全然違った。一枚一枚の写真が物語を語りだすのである。ほかのカメラで撮ったものとは、はっきり違う。
 そういう目で、あらためてT2を眺めると、T2こそが素晴らしいカメラ、素晴らしい工業製品であることが分かる。良い素材、良いデザイン、きちんとした職人の技、ブランドを守ること。これらの要件を満たして、はじめて良いものができるのである。
 その写りは、かなり個性が強かった。強すぎたくらいだ。TシリーズのT、T2、T3を特集した文庫サイズの本があった。T2の写真はすぐに分かった。写真にいつも、物語が付随していた。
 なぜ、性能のいいT3より、T2の写真のほうが好ましく感じるのだろうか。不思議だった。そのときは、T2の独特の味は、感覚としては分かった。だが、言葉で明快な説明ができなかった。浪漫派的あるいは演劇的表現かとも思ったが、少し違うような気もした。寂しさも表現できた。「濃さ」のなかに「はかなさ」も表現できた。
 今なら、自信をもって言える。T2の良さは、「品格」「色気」「哀愁」であったのだと。
# by withbillevans | 2012-03-11 01:35 | 写真機