先日、リニューアルなった東京駅駅舎を見学した際、道路をはさんで南側にある中央郵便局も、建て替えが終わり、外観が全部見えるようになったのに気付いた。大変美しいので、驚いた。
以前建っていた建物の正面外壁(ファサード)のみ残し、新しい高層ビルの裾のような形で保存する方法は、東京駅周辺の丸の内では、おなじみである。
私の記憶では、以前は外壁に貼られたタイルが、緑がかったグレーだったような気がするが、多分、新しく貼り替えられたであろうタイルは、ずっと白っぽくなっていた。この色が本当に美しく感じた。
今朝、ふと思いついて、朝の通勤途中に少し回り道して、見に行ったのである。この日は、LEICA SUMMICRON R 50mmを着けたNEX-5Nしか持っていなかった。換算75mmでは、建物をとるには長すぎた。全景を撮れないのである。丸の内北口のほうまで行けば、全景を撮れるのだが、そこまで往って来る時間がない。
後日、広角レンズで撮りなおすことにし、今朝は、建物の一部分を写すだけでガマンした。
定礎に刻まれた紀元2591年というのは、西暦1931年(昭和6)のことである。この年のクリスマスに完成した。今年で、満81年である。ちなみに、この年に生まれた有名人には、現在生存中の人では、八千草薫、久我美子、山本富士子、香川京子、二葉百合子、有吉佐和子、曽野綾子、山田洋次監督、高倉健、大村昆、宇津井健、亡くなった人では、市川雷蔵、勝新太郎、いかりや長介などがいるそうだ。
この時代の代表的建物は、帝冠様式という、コンクリート造りの中層ビルに、お城のような瓦屋根を乗せたスタイルだった。九段会館などが代表例で、今残る各地の県庁にも、このスタイルが多い。
大日本帝国の権威を示すための建物。カーキ色の軍服を着た軍人の姿が思い浮かび、軍靴の音が聞こえてきそうな建物だ。それに比べると、モダニズム様式である中央郵便局は、市民的な感じがする。昭和初期の東京には、モダニズムと軍国主義の両方があった。
保存されたのはファサードの部分だけで、本体部分は取り壊され、新しく高層ビルが建てられた。この高層ビルを真下から見上げると、キャットウォークというのだろうか、各階の小さな庇が重なって見えて美しい。こちらも、帝国主義的でない。高層部分はかなり規模が大きいが、壁面に細かい飾りがあるので、威圧感がないように感じる
。(後日、新幹線フォームから眺めたら、高層部分は特別美しい、というほどでもなかった)
東京駅前広場を囲む建物は、古典的な様式を遺すもの、現代建築など様々だが、昭和初期の面影を残す中央郵便局は、地味だが、極めて個性的に見える。個人的には大好きだ。この建物があってこそ、丸ビルなどのクラシック調の建物が生きてくる。リズムが生まれる。よく残してくれました。ありがとう。
今朝は、機材の持ち合わせが悪かったほか、露出もうまくできなかった。白いタイルは、もっとプラス補正しないと、明るく輝くような感じが出ない。
後日、広角レンズを持って、再挑戦しよう。