MC Rokkor PG 58mmF1.2は、オークションで入手した。新品のようにきれいな個体を、それほど高くない値段で、落札できた。非常にラッキーであった。
欲しくなった理由は、私のお宝KONICA HEXANON AR57mmF1.2と、商品企画(性格)が似ているレンズなので、比べたかったのである。
KONICA HEXANON AR57mmF1.2を入手する際は、より程度の良い個体を求めて、何回か買い換えたが、こちらは、最上級の程度の個体を、1回で入手できた。
その後、両レンズの、中古市場での流通量をチェックしているが、ROKKOR57mmのほうが、見かける頻度は少ないようだ。もちろん、両レンズとも流通量は少なく、その中での話である。
当時の一眼レフカメラ市場のシェアは、MINOLTAのほうが高かったはず。ということは、KONICA使用者のほうが、このような大口径レンズを使いたい人の比率が、高かったということなのだろうか。
当時は、一眼レフカメラはボディーと50mm標準レンズがセットで売られており、その標準レンズの明るさは、F1.4が多かった。F1.2、F1.4、F1.8ないし2.0、の3種類を松、竹、梅のようにラインナップしていた。それは、描写特性から来る区分けではなく、商売上の理由のほうが大きかったろう。買う側は、商品の階層として、受け取っていた。その階層区分は、「金持ち」「フツー」「貧乏」の3段階ではなく、「ぜいたく」「ちょっとがんばってみた」「これが普通」というニュアンスだった。
私は、正直に言えば、F1.2のような大口径レンズを買ったことがなかった。使ったこともなかった。実際に使っている人を見るのも稀だった。
そんな余裕がなかったことが、第一の理由だが、「設計に無理のない小口径レンズのほうが性能がいい」という記事を読み、信じていたこともある。
自分で買ったり、使ったりするようになったのは、ピント合わせがAFの時代になり、旧型MFレンズが、中古市場で安く流通するようになってからである。
大口径標準レンズを初めて買ったのはNikkor55mmF1.2。もちろん中古。写りはF1.4と同じで、なんということはなかった。1990年代の後半だったと記憶している。
使った印象で、今でも覚えていることは、「小口径より性能が落ちるというようなことはない。ピントもちゃんと来る」というものであった。当たり前のことであった。現実の商品の明るさと性能(解像度など)は本来、直接の関係はない。
新品で初めて買ったのは、COSINAの55mmF1.2。21世紀になるころであった。中野のフジヤカメラで12000円くらいで購入した。
このレンズは、COSINA自社ブランドのほか、海外の複数のブランドで売られていた。XR RIKENONブランドでも売られていた。
絞り開放で撮ると、不思議な感じで撮れるのに驚いた。私の、大口径趣味の開眼であり出発点であった。