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植木屋のOさん

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 先週、Oさんの軽トラックに乗せてもらって、房総半島をあちこち走った。Oさんは、茂原市の植木屋さんである。
 Oさんは、植木を育てる畑を持っていて、そこで何年あるいは何十年もかけて植木を育て、それを造園業者やホームセンターに販売するのが仕事である。
 Oさんの植木畑は、外房線の線路わきにいくつか、それから、半島中央の房総台地の上にも、こちらは借り地のようであったが、いくつかあった。
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 私の庭の木が枯れたので、新しいのを探すため、Oさんの畑に見に行ったのである。最初に、台地の上の畑に、シャラの木を見に行った。Oさんのお勧めのこの株立ちのシャラは、30~40年は経っているだろう。
 Oさんは、シャラの木に近づくと、巻尺を取り出した。木にあてるのではなく、地面に置いた。何をするか。
 専門家は、木の大きさを測る場合、木の高さよりも、根鉢の大きさを重視する。木の高さは、切り詰めればいい。しかし、植木を掘り上げる場合は、木が枯れないように、ある程度の根の大きさを確保する必要がある。そのため、大きな植木は、掘り上げた根の直径も大きくなり、そうなると、狭い場所には植えることができない。 このシャラの木は、根鉢の直径は1.5mにもなり、狭い我が庭に植えるのは無理であった。
 結局、この木をあきらめ、別の畑で育てていた、ヒメシャラの株立ちにした。木の大きさは、先ほどのシャラの木と同じくらいだが、ヒメシャラは丈夫なので、根鉢は小さくて済むのである。私の知る限り、庭木の中で、最も育てるのが難しいのが、シャラの木である。
 私は、シャラの木を偏愛していて、庭には3株が育っている。4株目をと思ったのだが、今度はヒメシャラでもいいか、という気になった。
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 次に、梅の木が植えてあるという、外房線の線路わきの畑に向かった。Oさんが途中の軽トラックの中で「やはり、ヨバイがいいね」と言った。え、この近所では、日本の一部地域で昔行われていたあの風習が残っているのかと、ドキリとしたが、それは聞き違いで、「ヤバイ」であった。
 漢字だと「野梅」である。一般に、庭に植えてあるのは、2種類あって、実を取るためのものと、花を楽しむのが目的のものがある。両方とも品種改良が進み、数が多いようだ。
 「野梅」というのは、そういう改良された梅ではなく、昔からある梅だ。梅は、奈良時代の前ごろに中国から持ち込まれたようだが、そのころのものに近いのだろう。
 私は、いろいろの種類の梅の木や花を見たが、その中では「野梅」の花が一番好ましく思っていた。Oさんも、同じことを指摘したのだった。小さくて素朴な花がたくさんつき、花の香りが強い。実も、小さいけれどたくさんなる。
 ただ、私は「ノウメ」だと思っていたが、Oさんは「ヤバイ」と言った。外房地方の専門家だけが「ヤバイ」と呼ぶのか、あるいは私だけが間違っているのかは分からない。
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 私は、一目見て、その「ヤバイ」に決めた。Oさんが、前日、枝を切ったばかりだった。運んでくるには、もっと枝を切り詰める必要があるが、私は、できるだけ残しておいてねと、頼んだ。
 数日後、Oさんから「あのヤバイの根鉢は1.5mはあるね」と電話があった。私は、植木畑から帰った後、庭に穴を掘って、翌週運び込まれるのを待っていた。道路からクレーン車で、穴の中にスポッと下ろしてもらうのである。植え込みまでやってもらうと、手間賃が発生するのだ。
 植木の生産・流通・保守管理などの専門家とつきあって、業界の構造が分かってきた。各段階でコストが発生するのだが、私は生産者から直接購入し、輸送コストを上乗せする方法を知った。丸投げする方法の半分以下の経費で済む。また、植木畑まで行って、気に入ったのを選べるメリットもある。そして、専門家から、いろいろな知識を吸収できるメリットも。
 私は、ヤバイを植える穴を、もう2回りほど大きくして、待つことにした。
 
by withbillevans | 2013-03-01 18:00 |
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