
天井川の下のトンネルを越えると、そこは江戸時代。のはずだったが、昭和の中期ぐらいの趣だった。
私は、町歩きする場合、事前の情報収集などやらない。行き当たりばったりでいくことにしている。ここに記すことも、自分の目で見たり、地元の人に聞いたりしたことが中心だ。細かいことは、後日調べる。
草津もそうであった。東海道53次の1つであり、中仙道との合流点であることくらいは知っていた。安藤広重の浮世絵で、草津はどんな絵柄だったかは、覚えていない。
草津宿には本陣が2つ、脇本陣がいくつかあった、本陣の1つが残っており、一般公開されている、というようなことは、後日知った。今回の訪問は早朝だったので、前を通っただけでがまんした。

脇本陣の1つはカフェになっていた。

少し歩いていくと、いい感じの建物が見えてきた。赤いつるバラがからまっているのが素晴らしい。
こういう建物は、文化的価値があるというわけでもないので、公的に保存されることはないだろう。でも、こういうのが時間を感じさせてくれる。

ウィンドーの形から、元は食堂のようであったが、今は何屋さんか分からない。
ビートたけしのポスターがあった。この人はずいぶん昔からいるような気がする。水原弘や大村混、それに松山容子とかと同年輩に思える。由美かおるとどっちが上なのだろう。ビートくんはこういう雰囲気の町によく似合う。

この店は角地になっていて、横丁があった。その細い路がまたいい感じだった。さっそく行ってみる。

写真館のウィンドーである。地方都市に行くと、写真館が気になる。まず建物の風情、そして飾られている写真、そのうえ、古いカメラなどが置いてあると、とてもハッピーになる。
埼玉県秩父市、栃木県足利市、神奈川県鎌倉市で見た写真館が、今のところ、私の〝日本の写真館ベストスリー〟である。

写真館の先にも、面白いものがありそうだったが、それは後回しにして、元の道に戻った。
トンネルに続いている道は、本陣や脇本陣があることから分かるように、昔の東海道の街道であった。ようやく、人通りが増えてきた道を、さらに、きょろきょろしながら歩いていった。