
力強い描写なのに、解像感があり、線が細い。発色もいい。素晴らしいレンズである。いろいろなシーンを撮っても、共通した雰囲気をかもし出す。筋の通ったレンズである。

昨年1月に、CANON FD50mmF1.4 SSCと一緒に購入した。中古品としては、かなり程度が良かった。昔から、このレンズは高性能だと思っていたので、この3年ほどの間に、数回購入した。しかし、きれいなものはなかった。だから、極めて貴重な個体であった。

多分、このレンズも放射能レンズなのだろう。中古品のほとんどが黄色くなっている。オークションで高齢の方から買ったものは、まっ茶色になっていた。ウイスキーでもなく紅茶でもなく、アメリカンコーヒーくらいの色になっていた。
では、ようやく出合ったきれいなレンズをなぜ、手放したか。しかも、CANON FD50mmF1.4 SSCを道連れにして。
その理由をはっきり思い出せない。所有している35mmレンズでは、超高性能なYASHICA ML35mmF2.8があって、このレンズの出番がそれほどないのではないか、と思ったからであろう。何かほかのレンズの購入資金になったのかもしれない。

こうして、このレンズで撮影したカットを見ると、手放す必要はなかったのではないか、と後悔してしまう。

私が実際に使用したCANONのMFレンズでは、次の4本が高性能であった。
FD 35mmF2.0SSC
NewFD 24mmF2.0
NewFD 85mmF1.2 L
NewFD 135mmF2.0
いずれも、現在は手元にないのが不思議である。
この中では、NewFD 85mmF1.2 Lが最もすごいレンズであったが、コストパフォーマンスならFD 35mmF2.0SSCであろう。
そして、今、手元にあり、それなりの頻度で使っているCANOのMFレンズは、 NewFD 50mmF1.4 1本のみである。使いやすく、描写も悪くないからである。優等生タイプで、意外さや新鮮さ、面白みにちょっと欠ける。